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血圧に対するココアの効果

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背景

高血圧は心血管疾患の重要なリスク因子の一つで、世界の心血管イベントの約50%、西洋諸国の心血管関連死の37%を占めている。疫学的研究では、ココア高含有製品により心血管疾患リスクが低減すると示唆されている。ココアで見出されたフラバノールは、血管拡張を促進し血圧を下げる内皮一酸化窒素の生成を増加すると示されている。以前のメタアナリシスでは、ココア高含有食品により血圧が低下すると示されている。最近の追加試験では相反した結果となっている。

目的

高血圧または高血圧でない参加者を対象に、フラバノール高含有チョコレートまたはココアが血圧に対する効果を検討すること。

検索方法

Cochrane Hypertension Group Specialised Register、CENTRAL、MEDLINE、EMBASEの電子的データベースを最初から2011年11月まで検索した。さらに、国際的試験登録簿、レビュー論文と選択した試験の参考文献リストを検索した。

選択基準

最低2週間成人を対象に収縮期と拡張期血圧に対するチョコレートまたはココア製品の効果を検討しているランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析

2名のレビューアが別々にデータを抽出し、各試験のバイアスリスクを第三のレビューアと協議して評価した。Review Manager version 5.1およびStata version 12を用いて、選択基準を満たした全研究にランダム効果メタアナリシスを実施した。チョコレートまたはココア製品中のフラバノール(総または単量体)含有量、盲検化、ベースラインの血圧、テオブロミン含量、糖含量、体格指数(BMI)、投与期間、年齢などの変数によるサブグループ解析および単変量メタ回帰解析で異質性を探索した。

主な結果

20件の研究が選択基準を満たした。主に健康な参加者856名を対象とした20件の研究のメタアナリシスでは、2~18週間の短期間試験において、コントロールに比べてフラバノール高含有ココアの方が統計学的に有意に血圧を低下させたと示された。 収縮期血圧平均差(95%CI)、‐2.77(‐4.72~‐0.82) mmHg、p = 0.005、20件; 拡張期血圧平均差(95%CI)、‐ 2.20(‐3.46~‐0.93) mmHg、p = 0.006、拡張期血圧入手19件 試験では実介入群参加者に1日あたりココア製品3.6~105 gを投与していた。この中にはフラバノール30~1080 mg(平均545.5 mg)が含まれていた。試験の半数(10件)では、実投与群はフラバノール500~750 mg/日を摂取していた。コントロール群は、フラバノール無含有製品(12件)またはフラバノール低含有ココアパウダー(6.4および41 mgフラバノール、8件)の投与を受けた。フラバノール無含有コントロール群の試験のサブグループメタアナリシスでは、フラバノール低含有製品をコントロール群で用いた試験と対照的に有意な血圧低下効果がみられた。この解析は、試験期間および参加者盲検化の程度により交絡を受けている可能性があった。 試験期間は短期であった(平均4.4週間、範囲2~8週間、19件、1件は18週間)。2週間の期間の試験(9件)では有意な血圧低下効果が明らかであったが、2週間を超える試験(11件)では明らかではなかった。2週間の試験9件中7件(78%)がフラバノール無含有コントロール群を有していたことに注目することが重要である。したがって、期間によるサブグループ解析は、コントロール群で用いたフラバノールの用量と参加者の盲検化の程度により交絡を受けている可能性があった。 消化管愁訴および試験の製品の不快な味などの有害な作用は、ココア実投与群の5%、コントロール群の1%から報告された。

著者の結論

フラバノール高含有チョコレートおよびココア製品には、短期間で2~3 mmHgの小さいが統計学的に有意な血圧低下効果がある。

PICO

Population
Intervention
Comparison
Outcome

El uso y la enseñanza del modelo PICO están muy extendidos en el ámbito de la atención sanitaria basada en la evidencia para formular preguntas y estrategias de búsqueda y para caracterizar estudios o metanálisis clínicos. PICO son las siglas en inglés de cuatro posibles componentes de una pregunta de investigación: paciente, población o problema; intervención; comparación; desenlace (outcome).

Para saber más sobre el uso del modelo PICO, puede consultar el Manual Cochrane.

Plain language summary

血圧に対するココアの効果

ココアで見出されたフラバノールは、一酸化窒素依存性血管拡張刺激による血圧低下作用に関連している。本レビューでは、最低2週間連日ココアを摂取した成人での血圧に対するココアの効果を評価した。 主に健康な参加者856名を対象とした20件の研究のメタアナリシスでは、小さいが統計学的に有意な血圧低下効果が収縮期について‐2.8 mmHg、拡張期について‐2.2 mmHg示された。 1件を除き試験期間は短く2~8週間であった(1件は18週間)。2週間の期間の試験(9件)では有意な効果が明らかであったが、より長期の試験(11件)では明らかではなかった。本結果が試験期間の長さに直接起因するものか、短期試験で用いられたコントロール群の種類、投与に対する参加者の盲検化の程度などの別の要因によるものかは不明であった。フラバノール無含有コントロール群を用いた試験の解析では血圧に対する有意な効果が示されたが、フラバノール低含有コントロール群を用いた試験の解析では示されなかった。 消化管愁訴および試験の製品の不快な味などの有害な作用は、ココア実投与群の5%、コントロール群の1%から報告された。 さらなる解析を実施し、効果(年齢、体格指数、ベースラインの血圧、ココア製品の糖含有量など)について他のサブグループを探索したが、すべてのサブグループ解析の結果と効果について測定されたあらゆる関連をさらなる試験で検証し、確認または否定する必要がある。 全体でプールした試験で認められた約2~3 mmHgのわずかな血圧低下は、他の治療選択肢を補完し心血管疾患リスクの低減に寄与する可能性がある。しかし、ココア製品の長期連日摂取が血圧に及ぼす効果を検証したRCTを同定できず、心臓発作や脳卒中などの高血圧に関連した臨床的アウトカムに対する効果を測定した試験はなかった。 低用量が血圧低下に有効か検証するためフラバノール無含有コントロール群とフラバノール低用量摂取を比較するさらなる試験が必要である。また、フラバノール高含有ココア製品の定期摂取が経時的に血圧と心血管健康状態に有用か、ココア製品連日長期摂取による有害作用があるかを明らかにするため、長期的試験が必要である。