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糖尿病を基礎疾患とする妊婦における程度の異なる血糖コントロール

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Abstract

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背景

基礎疾患として糖尿病の妊婦における最適な血糖コントロール目標は不明であるが、高血糖と有害な分娩アウトカムとの関連は明らかである。

目的

1型または2型糖尿病を基礎疾患として持つ妊婦での程度の異なる血糖コントロールの効果を評価すること。

検索方法

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年4月30日)を検索した。

選択基準

糖尿病を基礎疾患とする妊婦を対象に異なる血糖コントロール目標を比較しているランダム化比較試験(RCT)を選択した。

データ収集と分析

2名のレビューアが試験の適格性およびバイアスリスクを評価し、データを抽出した。

主な結果

すべて1型糖尿病の女性(223名およびその出生児)を対象にした3件の試験を選択し、すべてバイアスリスクが高かった。2件の試験は、血糖コントロール目標について、非常に厳しい目標[空腹時血糖(FBG)3.33~5.0 mmol/L]を、厳しい~中等度に厳しい目標(4.45~6.38)と比較し、その1件では出生児22名について周産期死亡および重篤な周産期罹病の報告はなかった。同じ試験で、非常に厳しい目標群では2例の先天異常があったが、厳しい~中等度の目標群では先天異常はなく、2群間で帝王切開について有意差はなかった[リスク比0.92、95%信頼区間(CI)0.49~1.73]。これらの2試験では、妊娠末期までに非常に厳しい群と厳しい~中等度の群とに血糖コントロールについて有意差はなかったが、女性22名の1試験では厳しい~中等度の目標群で母体低血糖が有意に少ないという所見を認めた。 女性と出生児60名の1件の試験では血糖コントロール目標が厳しい(FBGが5.6 mmol/L以下)、中等度(5.6~6.7)、ゆるい(6.7~8.9)群を比較し、ゆるい群で2例の新生児死亡があったが、厳しい群と中等度の群ではみられなかった。ゆるい群に比べて厳しい群と中等度の群の統合では、妊娠高血圧腎症、帝王切開、90パーセンタイルを超える出生体重児が有意に少なかった。

著者の結論

非常に限定的なエビデンスにおいて、1型糖尿病が基礎疾患の妊婦を対象にした非常に厳しい血糖コントロール目標と厳しい~中等度の血糖コントロール目標との間に、実際の血糖コントロール達成などのアウトカムについてほとんど差はみられなかった。「ゆるい」コントロール群(FBGが7 mmol/L超)では、有害性(妊娠高血圧腎症、帝王切開、および90パーセントタイル超の出生体重児の増加)のエビデンスがみられた。今後は、血糖コントロール目標値よりも介入を比較する試験の方が、特に2型糖尿病の妊婦で実現可能であると思われる。

PICO

Population
Intervention
Comparison
Outcome

El uso y la enseñanza del modelo PICO están muy extendidos en el ámbito de la atención sanitaria basada en la evidencia para formular preguntas y estrategias de búsqueda y para caracterizar estudios o metanálisis clínicos. PICO son las siglas en inglés de cuatro posibles componentes de una pregunta de investigación: paciente, población o problema; intervención; comparación; desenlace (outcome).

Para saber más sobre el uso del modelo PICO, puede consultar el Manual Cochrane.

Plain language summary

disponible en

1型または2型糖尿病の妊婦での至適目標血糖値についてランダム化試験によるエビデンスはほとんどみられない

妊娠前から1型または2型糖尿病の女性では、妊娠中断、高出生体重児および周産期死亡のリスクが増加している。母親の高血糖およびインスリン抵抗性による胎児への代謝阻害は、器官発生を障害することがあり、糖尿病の母親の出生児で最も多い先天異常は心血管系異常である。糖尿病の母親の出生児は、肥満および2型糖尿病の発症リスクも高い。そのため、妊娠での糖尿病の管理は、食事、運動、インスリンや他の抗糖尿病薬、受診、モニタリングを慎重に併用して、血糖を厳しくコントロールすることを目的としている。 程度の異なる血糖コントロールを評価している3件の小規模な試験(1型糖尿病妊婦総計223名)のみを同定した。 2試験で血糖目標値が非常に厳しい群と厳しい~中等度厳しい群の間にほとんど差がなかったが、非常に厳しい群の女性では、低血糖が有意に多く入院が有意に長かった。 厳しい、中等度、ゆるい血糖目標値の群を比較した1件の試験は、厳しい群と中等度の群とにほとんど差はなかったが、妊娠前半期の低血糖が血糖コントロールの厳しい群で有意に多かった。ゆるいコントロール群では、妊娠高血圧腎症の女性が有意に多く、帝王切開および巨大児が有意に多かった。 女性が個別に血糖目標値を達成することは明らかに困難であり、モニタリングなどの介入の方が女性の糖尿病管理に有用と思われる。