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認知症の激越に対するバルプロ酸製剤

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Abstract

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背景

激越は認知症をもつ高齢者の70%までに生じる。バルプロ酸誘導体は認知症における激越をコントロールするために過去10年間用いられてきたが、その治療の有効性についてのシステマティック・レビューは現在まで発表されていない。2004年のシステマティック・レビューでは、激越を生じた認知症の高齢者に用いられたバルプロ酸療法の効果に関する3件のランダム化プラセボ対照試験を検討した。本レビューはその後更新され、新たに2件の研究が加わった(2008年10月)。

目的

認知症の人の激越治療におけるバルプロ酸製剤の使用をエビデンスが支持しているかどうかを検討する。

検索戦略

ALOIS‐Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group's Specialized Register を、用語valproic OR valproate OR divalproex を用いて、2010年7月30日に検索した。ALOISは全ての主要な保健医療データベース(コクラン・ライブラリ 、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、LILACS)および多くの試験データベースや灰色文献からの記録を含んでいる。

選択基準

被験者の激越や認知症が評価されており、割りつけが隠蔽化されたランダム化プラセボ対照試験。

データ収集と分析

1.2人のレビューアが発表済み試験からデータを抽出した。2.平均差のオッズ比を計算した。3.「ITT」解析のみを選択した。4.解析はバルプロ酸を投与された被験者とコントロールとを比較した。

主な結果

結果を統合した2004年のメタアナリシスは、以下の問題があったため限界があった。Porsteinsson 2001において、患者治療に直接責任を負う医師は盲検化されたが、盲検化されていない医師が、盲検化された医師と直接連絡を取らなかったものの、盲検化された評価者からの報告や部外秘の臨床検査報告に基づいてdivalproex sodiumの用量を調節した。従って、治療をコントロールした医師はどの患者がdivalproex投与を受けているかわかったので、本試験は割りつけ隠蔽化という基準を満たさなかった。Tariot 2001において、脱落率はコントロール群29%に対して実薬群54%であった。全実薬群患者の22%が有害作用のため脱落し、本研究は早期に中止しなければならなくなった。3番目の試験(Sival 2002)はクロスオーバーデザインで行なわれた。この研究の第1相の結果は入手できなかった。また、統計の項では「独立したサンプルに対するt‐検定を用いて、2期間クロスオーバー試験を解析する」と述べているが、サンプルは独立していなかった(すなわち、治療群とプラセボ群の患者は同じである)ので、解析の正確さに関して疑問を提起しなければならない。これら試験で用いられたバルプロ酸製剤は様々であった。すなわち1件は短時間作用型バルプロ酸ナトリウムを用い、別の1件は長時間作用型divalproex sodiumを用い、3番目の研究は速効型divalproex sodiumを用いた。平均用量(480mg/日~1000mg/日)、投与期間(3週間~6週間)、患者および治療効果の評価方法も様々であった。有害作用に関する結果を統合した限定的なメタアナリシス(Porsteinsson 2001、Tariot 2001)は以下のことを明らかにした:鎮静状態はバルプロ酸群においてコントロール群よりも高い頻度で生じた。尿路感染症はバルプロ酸群においてコントロール群よりも多くみられた。2件の新しい研究(Tariot 2005、Herrmann 2007)の最新のシステマティック・レビュー(2008年10月)は、認知症患者の激越に対するバルプロ酸の効果にメタアナリシスを適用し、また、バルプロ酸を投与された患者での有害作用を調べるため、これらの研究を以前の報告と統合した。Herrmannらの研究はクロスオーバーデザインを用いていたので、本研究の最初の部分からの結果のみを更新レビューに入れた。統合した結果の新しいメタアナリシスは、バルプロ酸群でコントロール群と比較して激越の改善を示さず、バルプロ酸群で有害事象(転倒、感染症、胃腸障害)が多く発現することを示した。

著者の結論

更新レビューによれば、バルプロ酸製剤が、認知症患者の間で激越を治療するのに無効であるという当初の研究結果、およびバルプロ酸の有害作用の発現頻度は容認できないほど高率であることが確認された。認知症の人の激越に対するバルプロ酸製剤の使用に関して、より多くの研究が必要である。現在のエビデンスに基づくと、バルプロ酸治療は認知症における激越の治療に推奨することはできない。

PICO

Population
Intervention
Comparison
Outcome

El uso y la enseñanza del modelo PICO están muy extendidos en el ámbito de la atención sanitaria basada en la evidencia para formular preguntas y estrategias de búsqueda y para caracterizar estudios o metanálisis clínicos. PICO son las siglas en inglés de cuatro posibles componentes de una pregunta de investigación: paciente, población o problema; intervención; comparación; desenlace (outcome).

Para saber más sobre el uso del modelo PICO, puede consultar el Manual Cochrane.

Plain language summary

disponible en

No evidence of efficacy of valproate preparations for treatment of agitation in people with dementia

An updated review (October 2008) of valproate treatment of agitation in demented patients failed to show any improvement in agitation among treated patients compared with those not receiving treatment, and also demonstrated a higher rate of harmful effects, such as falls,infections and gastrointestinal disorders (diarrhoea, nausea) among those receiving valproate preparations. Although further research on the value of valproate preparations is indicated, current evidence does not support use of this drug to control agitation of people with dementia.