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反復性急性中耳炎に対する鼓膜チューブ留置の効果

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Abstract

背景

訳注: ⟪実施組織⟫藤原崇志翻訳  [2017.2.15] ⟪注意⟫この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。⟪CD004741⟫

急性中耳炎は小児がかかる感染症のうち最も多いものの一つです。特に半年に3回以上もしくは年4回以上、急性中耳炎を繰り返す場合には、反復性中耳炎といいます。治療としては年齢やこれまでの罹患回数などを考慮して、抗菌薬の投与や鼓膜チューブ留置が行われます。

目的

この研究では耳痛を伴う小児の反復性の中耳炎に対し、鼓膜チューブ留置の効果を検討した。

検索方法

今回のレビューではコクランENTグループのデータベース、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL); PubMed; EMBASE; CINAHL; Web of Science; BIOSIS Previews; Cambridge Scientific Abstracts; ICTRPおよび出版されていない研究も対象とし、2011年1月まで検索を行った。

選択基準

0歳から16歳の小児を対象とし、反復性急性中耳炎に対して、鼓膜チューブを留置した小児と、何も治療しない、もしくは抗菌薬投与を行なった小児を比較したランダム化比較試験を集めた。

データ収集と分析

検索された文献を組み入れるかどうか、2人の著者が独立して評価した。また組み入れた論文は3人の著者が独立して質を評価した。

主な結果

2つの研究がみつかり、計148人の小児がそれらの研究に参加していた。一つの研究では95人が研究に参加し、鼓膜チューブの留置によってその後半年の急性中耳炎の頻度が平均1.5回減少した。また6ヶ月間、一度も急性中耳炎に罹患しなかった小児も増えた。もう一つの研究でも鼓膜チューブを留置した方が急性中耳炎の頻度は低かったが、統計学的な差はなかった(p=0.16)。

著者の結論

鼓膜チューブ留置することで留置後6ヶ月間のうち、急性中耳炎に罹患する期間を短くすることができる。ただ6ヶ月後以降のデータはなく、今後の研究が期待される。また臨床現場においては、医療者は鼓膜チューブ留置する場合、処置にともなう合併症に留意した上で鼓膜チューブ留置を行う必要がある。

PICO

Population
Intervention
Comparison
Outcome

El uso y la enseñanza del modelo PICO están muy extendidos en el ámbito de la atención sanitaria basada en la evidencia para formular preguntas y estrategias de búsqueda y para caracterizar estudios o metanálisis clínicos. PICO son las siglas en inglés de cuatro posibles componentes de una pregunta de investigación: paciente, población o problema; intervención; comparación; desenlace (outcome).

Para saber más sobre el uso del modelo PICO, puede consultar el Manual Cochrane.

Plain language summary

反復性急性中耳炎に対する鼓膜チューブ留置

急性中耳炎は小児に多い、鼓膜の裏の中耳に感染が生じた状態である。多くの場合、発熱や中耳に膿がたまった状態になり、耳介牽引にともなう激痛が生じる。時に鼓膜は穿孔する場合もあり、その場合には痛みは軽減し耳漏が症状としてでてくる。小児の場合、何度も急性中耳炎を繰り返す場合があります。年4回以上もしくは半年に3回以上繰り返す場合には反復性中耳炎といわれる。

反復性中耳炎の管理として鼓膜チューブを留置し、中耳生じた膿がすぐに中耳から排出できるようにし、痛みが生じないようにする方法がある。このレビューでは反復性の急性中耳炎に対する鼓膜チューブの効果について評価した。

今回のレビューでは反復性中耳炎で痛みが生じた小児に対し、鼓膜チューブを留置した場合と留置しなかった場合(鼓膜チューブ以外の内服治療をする場合、もしくは何も治療をしない場合)を比較した研究を集めた。

2つのランダムか比較試験が見つかり、2つの研究をまとめた結果、鼓膜チューブを留置した方が、その後の半年間 痛みを感じずに過ごせる小児が多かった。2つの研究には合計95人の小児が含まれ、鼓膜チューブ留置をすると、鼓膜チューブ留置をしなかった場合に比べ、その後半年間での急性中耳炎の頻度が平均1.5回減少した。

ただ見つかった研究の数は少なく、質も不十分であり、今後、追加の研究での検討が必要である。