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原発性月経困難症に対する中薬(中医学の薬草療法)

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アブストラクト

背景

原発性月経困難症に対する現行の治療法の不成功率は20%から25%で、一部の女性では禁忌または不耐性の場合がある。中薬は代替療法として適している可能性がある。

目的

原発性月経困難症に対する中薬の有効性および安全性を、プラセボ、無治療および他の治療と比較検討すること。

検索戦略

The Cochrane Menstrual Disorders and Subfertility Group Trials Register (2006年まで)、MEDLINE (1950年〜2007年1月)、EMBASE (1980年〜2007年1月)、CINAHL (1982年〜2007年1月)、AMED (1985年〜2007年1月)、CENTRAL (The Cochrane Library, 2006年4号)、China National Knowledge Infrastructure (CNKI, 1990年〜2007年1月)、Traditional Chinese Medicine Database System (TCMDS, 1990年〜2006年12月)およびthe Chinese BioMedicine Database (CBM, 1990年〜2006年12月)を検索した。対象試験の参考文献もレビューの対象とした。

選択基準

中薬をプラセボ、無治療、従来法、温罨法、他の中薬、鍼、又はマッサージと比較したランダム化比較試験すべて。除外基準は、特定可能な骨盤病変および子宮内避妊器具の使用に起因する月経困難症であった。

データ収集と分析

2名のレビュー著者がそれぞれ質の評価、データ抽出およびデータの解釈を実施した。追加の情報やデータを得るため、試験著者との連絡を試みた。メタアナリシスを実施するため、2値データについてはPetoオッズ比または相対リスク(RR)を、連続データについては重み付け平均差を用いてデータを統合した。必要に応じて、固定効果統計モデルを使用した。データがメタアナリシスに適していない場合、その試験の利用可能なデータを抽出し、記述データとして用いた。

主な結果

計3475名が参加した39件のランダム化比較試験を本レビューの対象とした。多くの試験はサンプルサイズが小さく、方法の質が低かった。データが統合できなかったため、中薬とプラセボを比較した研究の結果は不明である(RCT3件)。中薬は、処方薬の利用と比較して疼痛緩和(RCT14件、RR 1.99、95% CI 1.52〜2.60)、総合的な症状(RCT6件、RR 2.17、95% CI 1.73〜2.73)、および他剤併用(RCT2件、RR 1.58、95% CI 1.30〜1.93)に有意な改善をもたらした。個々の患者に合わせて調合した中薬は、最長3カ月追跡した結果、一般に用いられている漢方製品と比較して疼痛緩和(RCT18件、RR 2.06、95% CI 1.80〜2.36)、総合的な症状(RCT14件、RR 1.99、95% CI 1.65〜2.40)、および多剤併用(RCT5件、RR 1.58、95% CI 1.34〜1.87)に有意な改善が認められた。中薬は、鍼(RCT2件、RR 1.75、95% CI 1.09〜2.82)および温罨法(RCT1件、RR 2.08、95% CI 2.06〜499.18)と比較した場合も疼痛緩和に優れていた。

著者の結論

本レビューでは原発性月経困難症に対する中薬の使用を支持する有望なエビデンスが得られた。しかし、対象試験の方法の質が低いため、結果には限界がある。

一般語訳

中薬(中医学の薬草療法)は月経痛を軽減する可能性がある

月経困難症は腹部の月経痛のことで、きわめて多い症状である。原発性月経困難症は原因不明の痛みのことである(病名が特定できない)。非ステロイド抗炎症薬または経口避妊薬による治療が成功しているが、多くの女性が薬物療法以外の治療法を求めている。中薬は何世紀にもわたり中国で使用されており、現在では国内の公立病院で原発性月経困難症の治療に使用されている。本レビューでは、原発性月経困難症の治療で月経痛の軽減に中薬を使用した場合、NSAIDや経口避妊薬、鍼、温罨法などの従来の医療と比較して有望なエビデンスが得られた。本レビューでは、重大な有害作用は認められなかった。しかし、対象試験の方法の質が全体的に低いため、結果は慎重に解釈すべきである。