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永久人工肛門造設を受ける場合と受けない場合の直腸癌切除後のQOL

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アブストラクト

背景

ほぼ100年もの間、腹会陰式直腸切断術は、直腸癌に対し選択される標準治療だった。直腸切除術および吻合術の進歩に伴い、括約筋機能を保存する前方切除術が、癌が肛門括約筋にきわめて近い場合を除き、直腸癌に対する望ましい治療とみなされるようになった。この主な理由は、腹会陰式直腸切断術後の人工肛門造設術患者のQOLが、括約筋温存術を受けた患者より不良であるためである。 しかし、括約筋温存術を受けた患者に、ストーマ患者と異なるQOLに影響する症状がでる可能性がある。

目的

永久人工肛門造設を受ける患者と受けない患者のQOLを比較する。

検索戦略

PUBMED、EMBASE、LILACS、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)およびCochrane Colorectal Cancer Group's specialised registerを検索した。主な消化器および結腸直腸に関する会議の抄録集を検索した。選択した論文の参考文献リストを精査した。

選択基準

有効なQOL評価手段を用いて、腹会陰式直腸切断術/ハルトマン手術または低位前方切除術を受けた直腸癌患者対象に、QOLを評価した全ての比較臨床試験および観察試験を考慮に入れた。

データ収集と分析

レビューア1名(JP)がデータベースおよびハンドサーチから同定した表題および抄録を確認した。関連可能性のある全試験の全文複写を入手した。レビューアは、どの試験が選択規準に合致するか決定した。 2名のレビューアが別々にデータを抽出した。情報が不十分の場合、原著者と連絡をとり、欠測データを入手した。抽出したデータのクロスチェックを行い、不一致点についてコンセンサスを得た。

主な結果

69件の可能性のある試験が同定された。そのうち35件、全て非ランダム化試験で参加者5,127名が選択規準に合致した。14件の試験により、腹会陰式直腸切断術/ハルトマン手術を受けた患者のQOLが前方切除術をうけた患者より不良ではなかったことが明らかにされた。残りの試験ではいくぶん差を認めたが、必ずしも非ストーマ患者の結果が優位ではなかった。 臨床的な異質性が存在し全試験が観察試験であったことから、選択した試験のメタアナリシスは実施できなかった。

著者の結論

本レビューに組み入れた試験からは、前方切除術を受けた患者のQOLが腹会陰式直腸切断術/ハルトマン手術を受けた患者より優れているか否かという点について確実な結論を引き出せなかった。選択された試験は、前方切除術患者の方が優れているという仮定に異議を唱えている。 この疑問の解答を得るには、さらに大規模で適切にデザインされた前向き試験を実施する必要がある。

一般語訳

永久人工肛門を有する直腸癌患者のQOLは非人工肛門患者との間に明白な差を認めませんでした。

直腸癌と診断された患者に対しては手術が決定的な治療です。外科的アウトカムは、肛門温存か人工肛門造設のいずれかです。従来、人工肛門患者のQOLが非人工肛門患者より不良であると思われることから、人工肛門造設術は望ましくないアウトカムとみなされてきました。本レビューに組み入れられた試験はこの仮定を裏づけるものではありませんが、確実な結論を引き出すことはできません。