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褥瘡治療のための電磁波療法

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アブストラクト

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背景

褥瘡は「圧力力、剪断力、摩擦力および/またはそれらの組み合わさった結果として生じる皮膚および深部組織の局所的損傷」の領域と、定義される。電磁波療法(EMT)とは、創傷全体に電極で電磁場を生じさせ、褥瘡などの慢性創傷の治癒度を改善する可能性がある。

目的

EMTの褥瘡治癒に対する効果を評価する。

検索方法

本更新のため、我々はCochrane Wounds Group Specialised Register(2012年7月12日検索)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2012年第7号)、Ovid MEDLINE(2010年~2012年7月第1週)、Ovid MEDLINE (In‐Process & Other Non‐Indexed Citations、2012年7月11日)、Ovid EMBASE(2010年~2012年第27週)およびEBSCO CINAHL(2010年~2012年7月6日)を検索した。

選択基準

EMTと偽EMTまたは他の(標準)治療とを比較するランダム化比較試験(RCT)

データ収集と分析

本更新のため、2名のレビューアが独立して、本検索結果を精査し、関連性のあるRCTを同定し、適格である可能性のある研究の全文を入手した。本レビューの過去の版では、研究著者と連絡をとり欠測データの入手を試みた。2人目のレビューアがデータ抽出を点検し、不一致をレビューア間で討議した後に解決した。

主な結果

本更新時に新規の試験は同定されなかった。元のレビューでは、バイアスリスクが不明な、参加者60名を含む2件のランダム化試験(RCT)が選択された。両試験ともEMTと偽EMTを比較したが、片方の試験には標準治療のみを行う第3群が含まれた。どちらの試験でも、EMT群と対照群患者の比較で完全治癒に統計的有意差を認めなかった。創傷の表面積の減少率(%)を評価した1試験では、両群でEMT群の方が統計的にに有意に優れていた。しかし、これは小規模試験で、この知見は偶然による可能性があるため、結果については注意して解釈すべきである。さらに、アウトカムである創面積の減少率は完全治癒よりも臨床的に重要でない。

著者の結論

これらの結果は、褥瘡治療のためのEMT使用の利益を示す強力なエビデンスは得られなかった。しかし選択されたのは2件の試験のみで、両者とも方法論的限界があり参加者が少数であることから、有益作用または有害作用のある可能性は除外できない。さらなる研究が勧められる。

PICOs

Population
Intervention
Comparison
Outcome

The PICO model is widely used and taught in evidence-based health care as a strategy for formulating questions and search strategies and for characterizing clinical studies or meta-analyses. PICO stands for four different potential components of a clinical question: Patient, Population or Problem; Intervention; Comparison; Outcome.

See more on using PICO in the Cochrane Handbook.

一般語訳

褥瘡治療のための電磁波療法

褥瘡(床ずれ、褥瘡性潰瘍とも呼ばれる)は圧力または擦れにより生じる皮膚潰瘍です。褥瘡は通常、自力体動困難な人の腰部、踵部および肘部など身体の骨突出部位に生じ、治癒するまでに長い時間がかかります。電磁波療法は放射線や加熱の形態ではなく、治癒を促進することを目的に電磁場を用います。しかし試験のレビューでは、電磁波療法が褥瘡治癒に有益か有害かを示す強力なエビデンスは示されないと結論付けました。