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進行疾患の成人の筋力低下に対する神経筋電気刺激

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アブストラクト

背景

進行疾患患者は筋力低下を経験することがしばしばあり、自立のレベルおよびQOLに悪影響がある。従来のかたちの運動を始めることができない、あるいはやりたがらない患者には、神経筋電気刺激(NMES)が、肢の筋力をつける代替法となる可能性がある。プログラムは忍容性が高いようで、筋機能、運動能力およびQOLの改善につながっていると思われる。しかし、個々の試験によるNMESの有効性に関する評価は、検出力および精度に欠ける。

目的

主目的:進行疾患の成人の筋力改善に対するNMESの有効性を評価すること。副次的目的:NMESの許容性および安全性を検討し、筋機能(筋力または耐久力)、筋肉量、運動能力、息切れおよび健康関連QOLの変化を吟味すること。

検索方法

2012年7月までのThe Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、CINAHLおよびPsycINFOのデータベース、引用文献、学会予稿集およびこれまでのシステマティック・レビューを検索し、研究を同定した。

選択基準

進行慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全、癌またはヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)の成人を対象に、単独または補助的な介入としてのNMESを無治療、プラセボNMESまたは実対照薬と比較したランダム化比較試験(RCT)を採用した。言語に制限を設けなかった。

データ収集と分析

2名のレビュー著者が独立して研究デザイン、参加者、介入およびアウトカムに関するデータを抽出した。コクラン共同計画のツールを用いて、バイアスのリスクを評価した。十分なデータがあるアウトカムに関しては、介入群とコントロール群の間の平均差(MD)または標準化平均差(SMD)を算出した。その他のアウトカムに関しては、個々の研究の試験成績を記載した。

主な結果

計218例が参加したCOPD、慢性心不全および胸部癌の11件の研究が選択基準を満たした。NMESは、四頭筋力で標準化平均差0.9を示し、有意に改善した(95%信頼区間(CI)0.33~1.46)。これは約25ニュートンメートル(Nm)に匹敵する(95%CI 9~41)。 さまざまな歩行検査の平均差は、6分間歩行試験で40m(95%CI ‐4~84)、漸増シャトルウォーキングテストで69m(95%CI 19~119)および耐久シャトルウォーキングテストで160m(95%CI 34~287)と、NMESの優位性が認められた。 その他の副次的評価項目に関するエビデンスは限定的なものであった。

著者の結論

NMESは、COPD、慢性心疾患および癌などの進行疾患の成人の筋力低下を改善する有効な方法であるように思われる。さらに研究を実施し、NMESプログラムの至適パラメーター、利益を得る可能性が最も高い患者および病的状態や医療サービス利用に与える影響を確認し、診療におけるNMESの役割を明らかにする必要がある。

PICOs

Population
Intervention
Comparison
Outcome

The PICO model is widely used and taught in evidence-based health care as a strategy for formulating questions and search strategies and for characterizing clinical studies or meta-analyses. PICO stands for four different potential components of a clinical question: Patient, Population or Problem; Intervention; Comparison; Outcome.

See more on using PICO in the Cochrane Handbook.

一般語訳

進行疾患の成人の筋力低下に対する筋刺激

個々の研究からは、神経筋電気刺激(NMES)の使用が、進行疾患の結果として起こる筋力低下を改善する可能性のあることが示唆されている。NMESは軽量の刺激装置および皮膚電極を使用し、筋収縮を引き起こす。受動的な運動であるため、患者は、監視がなくても自宅で肢の筋肉の運動をすることができる。たとえば息切れや疲労のために、既存のかたちの運動に参加できない患者に特に有益である可能性がある。

このレビューでは、進行COPD、慢性心不全または胸部癌の患者を対象に、NMESを運動なしや「プラセボNMES」と比較した小規模臨床試験11件を対象とした。NMESは、肢の筋力や運動能力の改善につながるプログラムと合わせて実施すると、有効性が高いように思われる。しかし、この利益は大規模試験で確認する必要がある。QOLや医療サービスの利用など、その他のアウトカムに対する効果を明らかにするには、さらに研究が必要である。