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特異的学習障害の小児に対する多価不飽和脂肪酸(PUFA)

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アブストラクト

背景

約5%の学童が特異的学習障害であり、知力の低下、不適切な教育や社会的剥脱とは関係なく、不測にも読字、書字、計算の能力をしっかり身につけることができていないとされる。この内80%が読字障害である。多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特にオメガ3およびオメガ6脂肪酸は、脳、網膜に豊富にみられ、学習に重要な働きをする。特異的学習障害児の中にはこれらPUFAの欠乏が認められている小児がおり、PUFAの補充がこれらの小児の学習障害を改善するのに効果がある可能性があると議論されている。

目的

特異的学習障害児に対するPUFA補充の学習アウトカムに対する効果を評価すること。

検索方法

CENTRAL(2012年第 4号)、 MEDLINE(1948年〜2012年4月第2週号)、EMBASE(1980年〜2012年第16週号)、PsycINFO (1806年〜2012年4月号)、 ERIC (1966年〜2012年4月号)、Science Citation Index(1970年〜2012年4月20号)、Social Science Citation Index(1970年〜2012年4月20日号)、Conference Proceedings Citation Index‐Science(1970年〜2012年4月20日号)、Conference Proceedings Citation Index‐Social Sciences and Humanites(1970年〜2012年4月20日号)、Cochrane Database of Systematic Reviews (2012年第 4号)、 DARE(2012年第2号) 、 ZETOC(2012年4月24日号)、 WorldCat(2012年4月24日号)。2012年4月24日にWHO International Clinical Trials Registry PlatformおよびClinicalTrials.govを検索した。 また、検索によって同定された論文に関連する文献についても検索した。

選択基準

DSM‐IV, ICD‐10または同等の基準により特異的学習障害と診断された18歳以下の小児において、PUFAとプラセボまたは無治療を比較したランダム化比較試験(RCT)または準RCT。注意欠陥多動性障害(ADHD)または自閉症などの発達障害もある参加者を意図的に選択した。

データ収集と分析

2名の著者(ML およびKH)が独立して検索結果のタイトルおよび抄録をスクリーニングし、選択基準に適合しない研究をすべて除外した。必要に応じて不明情報や明確化のために著者にコンタクトをとった。

主な結果

本レビューの選択に適合する研究は見当たらなかった。研究著者から情報を得られなかったため、待機分類の研究が1件ある。

著者の結論

特異的学習障害の小児に対するPUFAの使用について結論を導き出すには、エビデンスが不十分である。このグループの小児に対するPUFAの使用を支持または反論するには、良くデザインされたRCTが必要である。

PICOs

Population
Intervention
Comparison
Outcome

The PICO model is widely used and taught in evidence-based health care as a strategy for formulating questions and search strategies and for characterizing clinical studies or meta-analyses. PICO stands for four different potential components of a clinical question: Patient, Population or Problem; Intervention; Comparison; Outcome.

See more on using PICO in the Cochrane Handbook.

一般語訳

特異的学習障害の小児に対する多価不飽和脂肪酸(PUFA)

小児が、知力の低下、不適切な教育や社会的剥脱とは関係なく、読字、スペリング、書字、計算の能力が実際の年齢よりかなり低い場合、その小児には特異的学習障害がある。単独で発症する場合(読字障害だけなど)もあれば、組み合わさって(読字障害と計算障害両方など)、または注意欠陥多動性障害(ADHD)などの他の発達障害を併せ持つ場合もある。多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、「脳の食べ物」と考えられており、製薬会社は通常オメガ3脂肪酸やドコサヘキサエン酸(DHA)として学習能力改善のためそれらの使用を促進している。このレビューの目的は、特異的学習障害の小児の読字、書字、スペリング、および計算能力に対する多価不飽和脂肪酸(PUFA)補充の効果を評価することであった。特異的学習障害の小児における読字、スペリング(筆記)、および計算能力に対するPUFAの効果をプラセボと比較して評価した1件の研究を認めた。しかし、他の活性成分カルノシンが介入に含まれていたため、選択しなかった。もう1件研究を認めたが、情報の欠如のため選択も除外もできなかった。したがって特異的学習障害の小児に対するPUFAの使用については支持、または反論するエビデンスは不十分であった。