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湿疹治療を目的としたプロバイオティクス

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アブストラクト

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背景

プロバイオティクスは、湿疹の有効な治療法として提案されており、最近では数多くの臨床試験が行われている。

目的

湿疹の治療に対するプロバイオティクスの効果を評価する

検索戦略

Cochrane Skin Group Specialised Register(2008年4月まで)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクランライブラリ、2008年第2号)、MEDLINE(2003年~2008年4月)、EMBASE(2005年~2008年4月)、PsycINFO、AMED and LILACS(初版から2008年4月)およびISI Web of Science(2006年12月まで)および文献参考一覧を検索した。実施中の臨床試験の登録簿、会議議事録を検索し、また有害事象を検索した。

選択基準

湿疹の治療を目的として微生物の生菌を経口摂取するランダム化比較試験。

データ収集と分析

2名のレビューアがそれぞれ選択基準を適用、試験の質を評価、またデータを抽出した。必要に応じて、研究著者に問い合わせを行い、より多くの情報を得た。対象とした試験からの有害事象、また有害事象に関する別の調査から有害事象を記録した。

主な結果

781例の参加者を対象とした12件のランダム化比較試験が、選択基準を満たした。参加者はすべて小児であった。プロバイオティック治療を支持する参加者または保護者の評価による症状スコアに有意差は認められていない(5件の試験、参加者313例)。0〜20の尺度で評価する症状の重症度で、プラセボ摂取後と比較して、プロバイオティック摂取後では0.90ポイント低かった(95%CI:‐1.04、2.84、P = 0.36)。参加者または保護者の評価によりプロバイオティック治療を支持する全体的な湿疹の重症度に有意差は認められていない(3件の試験、参加者150例)。プロバイオティックとプラセボの摂取の間で、治験医師の評価による湿疹の重症度に有意差は認められていない(7件の試験、参加者588例)。0から102の尺度で評価する治験医師による湿疹の重症度スケールでは、プラセボ摂取と比較して、プロバイオティック摂取後に2.46ポイント低かった(95%CI:‐2.53、7.45、P = 0.33)。個々の研究結果の間に有意な異質性が認められたが、これは異なるプロバイオティック株の使用によって説明される可能性がある。参加者の年齢、湿疹の重症度、アトピーの有無または食物アレルギーの有無によるサブグループ解析では、集団全体に対して異なる治療成果が見られた集団は特定されなかった。有害事象の検索では、プロバイオティクスによる感染症や腸管虚血の症例報告が数件確認された。

著者の結論

このエビデンスから、プロバイオティクスは湿疹に対して有効な治療法ではなく、またプロバイオティック治療は有害事象について小規模のリスクが認められている。

PICOs

Population
Intervention
Comparison
Outcome

The PICO model is widely used and taught in evidence-based health care as a strategy for formulating questions and search strategies and for characterizing clinical studies or meta-analyses. PICO stands for four different potential components of a clinical question: Patient, Population or Problem; Intervention; Comparison; Outcome.

See more on using PICO in the Cochrane Handbook.

一般語訳

湿疹治療を目的としたプロバイオティクス

湿疹の治療にプロバイオティクスを使用することを推奨する十分なエビデンスはない。

湿疹は、かゆみを伴う発赤を特徴とする皮膚状態であり、一生のある時点で5〜20%の患者に影響を及ぼす。湿疹患者では、湿疹がない人とは異なる腸内細菌が認められ、また時には腸内に炎症が認められる。腸内細菌叢の割合を変えること、または腸内の炎症を減少させることにより、湿疹の症状を治療することが可能となることがある。これを達成する可能性のある治療の一つがプロバイオティクスである。例えば低温殺菌牛乳およびヨーグルトに見られるLactobacillusなど微生物の生菌を経口摂取する療法である。12件の試験のレビューから、プロバイオティクスはかゆみなどの湿疹の症状を軽減せず、またプロバイオティクスにより患者や医師が判断した湿疹の全体的な重症度も変わらなかったことが示された。異なる試験間で結果が異なったが、全体としてプロバイオティクスは湿疹の有効な治療法であることが示唆されている。湿疹の治療ではまだ研究が行われていない異なる種類のプロバイオティクスがより効果的である可能性があるため、新たなプロバイオティクスを用いた研究が必要である。プロバイオティクスによる感染症や腸管の問題が発生することは稀である。