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双胎妊娠女性の早期産を減らすための経口β刺激薬予防投与

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アブストラクト

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背景

双胎妊娠は、早期産率増加にともない新生児死亡率及び罹病率の高リスクと関連がある。β刺激薬は、子宮収縮頻度を低下させるか又は単胎妊娠の早期産を24~48時間遅延させることが可能である。双胎妊娠女性への経口β刺激薬投与の有効性は実証されていない。

目的

双胎妊娠女性の早期産の予防のための経口β刺激薬予防投与の有効性を評価する。

検索方法

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group Trials Register(2012年1月31日)、Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ2012年第2号)、MEDLINE(1966年1月~2012年2月1日)及びEMBASE(1985年1月~2012年2月1日)を検索した。

選択基準

双胎妊娠における経口β刺激薬投与を、プラセボ投与又は早期産予防の特定目的を有する介入のいずれかと比較するランダム化比較試験。準ランダム化比較試験、クラスターランダム化比較試験及びクロスオーバー試験は組み入れなかった。

データ収集と分析

レビューア2名が別々に組入れのため試験を評価し、試験の質を評価した。レビューア2名がデータを抽出した。データの精度をチェックした。

主な結果

6件の試験(双胎妊娠374例)を組み入れたが、5件の試験のみ(双胎妊娠344例)データが得られた。全試験とも、経口β刺激薬とプラセボを比較する試験であった。 β刺激薬により、早期産の発生が減少した[1件の試験、双胎妊娠例50例、リスク比(RR)0.40、95%信頼区間(CI)0.19~0.86]。しかしβ刺激薬により妊娠37週未満の早期産(4件の試験、双胎妊娠276例、RR 0.85、95%CI 0.65~1.10)又は34週未満の早期産(1件の試験、双胎妊娠144例、RR 0.47、95%CI 0.15~1.50)は減少しなかった。β刺激薬投与群の新生児出生体重の平均値はプラセボ群より有意に高かった(3件の試験、新生児478名、平均差111.22 g、95%CI 22.2~200.2)。それにもかかわらず、低出生体重児の減少(2件の試験、新生児366名、平均RR 1.19、95%CI 0.77~1.85、ランダム効果)又は在胎期間に比して軽小児(SFD)の減少(2件の試験、新生児178名、RR 0.92、95%CI 0.52~1.65)に対するβ刺激薬の効果のエビデンスは得られなかった。2件の試験では(新生児388名)、β刺激薬は呼吸窮迫症候群の罹患率を有意に低下させたが、双生児である新生児の相関について解析を調整したところ差は有意ではなかった。3件の試験(新生児452名)では、新生児死亡率低下に対するβ刺激薬の効果を示すエビデンスは得られなかった(RR 0.80、95%CI 0.35~1.82)。

著者の結論

双胎妊娠女性の早期産を予防するための経口β刺激薬の使用を支持する、又は否定するにはエビデンスが不十分であった。

PICOs

Population
Intervention
Comparison
Outcome

The PICO model is widely used and taught in evidence-based health care as a strategy for formulating questions and search strategies and for characterizing clinical studies or meta-analyses. PICO stands for four different potential components of a clinical question: Patient, Population or Problem; Intervention; Comparison; Outcome.

See more on using PICO in the Cochrane Handbook.

一般語訳

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双胎妊娠女性の早期産予防のための経口β刺激薬

双生児の早期産を予防するための経口β刺激薬(子宮収縮を減らすか防止する薬剤)のルーチン使用を支持する、又は否定するにはランダム化比較試験のエビデンスは不十分である。 出産があまりに早期の場合、新生児は健康を害し、時には重篤な状態で非常にまれに死亡する場合がある。これは、新生児の肺及びその他の臓器が十分に成熟していないためと思われる。早期産に関する問題は又、脳性麻痺などの長期的な障害を発症する可能性がある。双生児は早期に生まれ、子宮内発育遅延を呈し、上記問題を有する傾向がより高い。分娩収縮を減らす薬剤(β刺激薬)は、母親が一人の新生児を出産する場合、早期産を遅らせることができることがわかっている。しかし本レビューの6件の試験(双胎妊娠374例)のうち、5件のみ(双胎妊娠344例)からデータが得られ、経口β刺激薬のルーチン使用を支持するにはエビデンスが不十分であることが明らかになった。β刺激薬が早期分娩の発現を低下させることを示す1件の小規模な試験の結果が得られたが、4件の試験結果では妊娠37週未満での早期産減少は示されなかった。在胎期間に比して軽小児(SFD)数又は新生児死亡を減らす上でのβ刺激薬の効果のエビテンスは得られなかった。β刺激薬使用における呼吸窮迫症候群の罹患率の差は不明であった。β刺激薬は、心臓の動悸など母親の有害な作用を引き起こす可能性がある。 試験参加時の妊娠期間は20~34週であった。試験に使用されたβ刺激薬の種類及び用量にはばらつきがあり、報告されたアウトカムは不完全で異なる方法で明らかにされたものである。対象となる試験のいずれも、児の肺の成熟を改善するため出産前にステロイド薬を使用したか否か記載していなかった。